フェリング・ファーマ、不妊治療経験者と医療従事者を対象に 「⽇本の⽣殖医療に関する意識調査」を実施

フェリング・ファーマ、不妊治療経験者と医療従事者を対象に 「⽇本の⽣殖医療に関する意識調査」を実施
22 June 2020 siddhant

フェリング・ファーマ、不妊治療経験者と医療従事者を対象に
「⽇本の⽣殖医療に関する意識調査」を実施

・不妊治療経験者の約6 割が「⽇本において⽣殖医療に関する情報が適切に提供されていると思わない」と回答
・医療従事者の半数以上も「性教育の情報が不⼗分」であることを課題に感じていることが明らかに

フェリング・ファーマ株式会社(本社︓東京都港区、CEO 代表取締役︓マーク・ノグル、以下「フェリング・ファーマ」)は、医療従事者(医師・看護師)と不妊治療経験のある⼥性それぞれを対象に、「⽇本の⽣殖医療」に対する意識調査を実施しました。医療従事者は、フェリング・ファーマが提供する医療関係者向け領域専⽤サイト「Find FERRING」会員の医療従事者(医師・看護師)、不妊治療経験者は全国から20~49 歳の⼥性の⽅1,000 名を対象として調査を⾏いました。これらの調査は、不妊治療の当事者である医療従事者と治療経験者が、それぞれの⽴場から「不妊治療を含む⽇本の⽣殖医療」についてどう考えているのかを明らかにすることを目的として実施したものです。

不妊治療経験者向け調査から
⽣殖医療に関する知識をより早い年齢のうちに正しく得ることが重要

本調査の結果、不妊治療経験者の57.8%が「⽇本において⽣殖医療に関する情報が適切に提供されていると思わない」と回答し、「不妊治療」を含む妊娠・出産、⽉経などに関する情報は広く普及されていないと感じていることがわかりました。また、これらの情報について知った時期が「遅かった」と感じている⽅の割合は、年代があがるにつれ顕著に増加しており、30 代前半以上では過半数が「遅かった」と回答しています。実際に情報を得た時期は、「20 代後半〜30 代前半」という回答が過半数を占める一⽅で、「20 代までに知るべき」と考える⽅が86.1%、その中でも「20 代前半までに知るべき」と回答した割合は58.1%となりました。自らのご経験を経て、より早い段階で⽣殖医療に関する情報を得るべきだと感じていることが明らかになっています。
さらに、これらの情報についてもっと早くから知っていた場合、「何かしらの⾏動を起こしていたと思う」と回答する⼈は88.9%にものぼりました。特に、「妊娠に関わる体の機能の検診を受ける」という回答が52.5%と最も多い結果となりました。

医療従事者向け調査から
医療従事者は「より質の⾼い性教育」が必要と考えている

本調査からは、医療従事者の55.7%が「性教育の情報が不⼗分」であることを課題に感じていることが明らかになりました。患者さんの持っている情報の量が「多い」「とても多い」と回答した割合が90.1%であったのに対し、患者さんの持っている情報の質が「高い」「とても高い」と回答した割合は65.8%と、情報の「量」と「質」の評価に差が出る結果となりました。患者さんに関する課題としては、「年齢と妊孕性の関係について正しい理解がない」と感じている⽅の割合が34.2%と最も多く、「インターネットによって容易に情報にアクセスできるため、情報過多になっている」「家族や職場から治療に対する理解が得られない」という回答が続きました。

この調査結果を受け、本不妊治療経験者向け調査を監修した慶應義塾大学名誉教授 ⽣殖医療専門家 吉村 泰典 先⽣は次のように述べています。
「いつか⼦どもを持ちたいと考えている⽅々にとって、より若いうちから自分の体のことを知り、妊娠・出産について考えることはとても大切です。⽣殖と年齢は大きく関わりがあるため、早くから妊娠について考え、⾏動しておけば、“本来であれば必要のなかった不妊治療”をなくすことにもつながります。最初は気後れするかもしれませんが、ぜひ早めに医療機関に相談していただきたいと思います」

少⼦化が進む⽇本において、⼦どもを持ちたいと思ってもなかなか妊娠することができない「不妊症」に悩むカップルの割合は増加傾向にあるといわれています。その中には、体のしくみや⽣殖年齢についての正しい情報を得ていなかったことで対処が遅れてしまうなど、情報不⾜が原因と考えられる⽅も多く認められており、今回の調査からも、⽣殖に関する正しい知識をより若いうちに得ることの重要性が確認されました。早い段階で⽣殖に関する知識を得ておくことは、⼈⽣やキャリアを考えるうえで、より多くの選択肢を持つことにつながると考えられます。

フェリング・ファーマは、不妊治療領域のリーディングカンパニーとして、医療関係者の皆様のみならず、広く社会に対して情報発信を⾏うことで、⽇本の⽣殖医療に貢献していきます。

【会社概要】
社名︓フェリング・ファーマ株式会社(Ferring Pharmaceuticals Co.Ltd.)
本社︓〒105-0001 東京都港区⻁ノ門2 丁目3-17 ⻁ノ門2 丁目タワー7 階
最高経営責任者(CEO)兼代表取締役︓マーク・ノグル(Mark Noggle)
事業内容︓医薬品の開発、製造、販売ならびに輸出⼊業務等
設⽴︓2001 年2 ⽉1 ⽇
資本⾦︓2 億1 千万円
従業員数︓116 名 (2020 年4 ⽉1 ⽇現在)
FERRING はFerring B.V.の登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先
フェリング・ファーマ株式会社
パブリックアフェアーズ・マーケットアクセス
〒105-0001
東京都港区⻁ノ門2 丁目3-17 ⻁ノ門2 丁目タワー7 階
TEL︓03-3596-1124
E-mail:Yoko.Nakata@ferring.com

不妊治療経験者向け意識調査

【概要】

内容    「⽇本の⽣殖医療に関する意識調査」
実施⽅法  インターネット調査
調査対象  20~49 歳の不妊治療経験のある⼥性1,000 名
調査時期  2020 年4 ⽉24 ⽇(⾦)〜4 ⽉27 ⽇(⽉)

【結果サマリー】*調査の全結果はこちらをご覧ください

  • 不妊治療経験者の57.8%が「⽇本において⽣殖医療に関する情報が適切に提供されていると思わない」と回答
  • 「不妊症」を含む妊娠・出産に関する情報について「20 代後半〜30 代前半」に知った⼈が過半数を占める一⽅ で、これらの情報を「20 代までに知るべき」と考える⽅が86.1%、その中でも「20 代前半までに知るべき」と回答した割合は58.1%
  • これらの情報について知った時期が「遅かった」と回答する割合は、年代があがるにつれ顕著に増加し、30 代前半以上では「遅かった」と回答する割合が過半数
  • これらの情報について早くから知っていた場合、「何かしらの⾏動を起こすと思う」と回答する⼈は88.9%にものぼり、特に「妊娠に関わる体の機能の検診を受ける」と52.5%が回答
医療従事者(医師・看護師)向け意識調査

【概要】

内容    「⽇本の⽣殖医療に関する意識調査」
実施⽅法  インターネット調査
調査対象  「Find FERRING」会員の医療従事者(医師・看護師) 有効回答数︓79(医師66 名、看護師13 名)
調査時期  2020 年4 ⽉13 ⽇(⽉)〜4 ⽉27 ⽇(⽉)

【結果サマリー】*調査の全結果はこちらをご覧ください

  • 医療従事者の半数以上(55.7%)も「性教育の情報が不⼗分」であることを課題に感じていることが明らかに
  • 患者さんの持っている情報の量が「多い」「とても多い」と答えた⼈が90.1%なのに対し、患者さんの持っている情報の質が「高い」「とても高い」と答えた⼈は65.8%にとどまる。より質の高い教育の必要性が示唆される
  • 患者さんに関する課題としては「年齢と妊孕性の関係について正しい理解がない」と感じている⽅の割合が34.2%と最も多く、「インターネットによって容易に情報にアクセスできるため、情報過多になっている」「家族や職場から治療に対する理解が得られない」という回答が続いた
<不妊治療経験者向け「⽇本の⽣殖医療に関する意識調査」結果>
⽣殖に関する情報について知った年齢は20 代後半〜30 代後半

Q1 あなたが「不妊症」を含む妊娠・出産に関する情報について、具体的に知ったのは何歳ごろですか。

⽣殖に関する情報について知った年齢は20 代後半〜30 代後半

20 代後半で知ったと回答した⼈(32.4%)が最も多く、次に多いのが30 代前半(22.7%)でした。年代別にみると、20 代では20 代後半(50.6%)、30 代では30 代前半(39.9%)、40 代では30 代後半(41.3%)で情報を得た⼈が最も多い結果になりました。

 

⽣殖に関する情報について知ったきっかけは「結婚後、⼦供を持つことを考えたとき」

Q2 あなたが「不妊症」を含む妊娠・出産に関する情報について、具体的に知った/知ろうと思ったきっかけは何ですか。あてはまるものを全てお選びください。
また、最もあてはまるものをひとつだけお選びください。

⽣殖に関する情報について知ったきっかけは「結婚後、⼦供を持つことを考えたとき」

⽣殖に関する情報について知ったきっかけは「結婚後、⼦供を持つことを考えたとき」s

最もあてはまるものを選択した際には、「結婚後、⼦供を持つことを考えたとき」が最も多く、過半数となりました(50.4%)。あてはまるものすべて選択した際も、「結婚後、⼦供を持つことを考えたとき」が最も多く(66.9%)、「婚約・結婚」(35%)、「パートナーができたとき」(25%)が続きました。
年代別に⾒ると、すべての世代で約半数が「結婚後、⼦供を持つことを考えたとき」と回答しました。

⽣殖に関する情報について「20 代のうちに知っておきたかった」と思っている⼈が多い

Q3 あなたが「不妊症」を含む妊娠・出産に関する情報について知った時期は、適切だったと思いますか。

⽣殖に関する情報について「20 代のうちに知っておきたかった」と思っている⼈が多い

全体では「適切」「遅かった」が同程度の割合で多いものの、年代別に⾒ると、年代が上がるにつれ「適切」の割合が減り、「遅かった」の割合が顕著に増えています。20 代で不妊治療を始めた⼈は⽐較的意識が高く、知識を得た時期も早かった可能性が高い可能性があります。

⽣⽣殖に関する情報について「20 代のうちに知っておきたかった」と思っている⼈が多い

妊娠・出産に関する情報を知った年齢別で⾒ると、30 代前半以上では「遅かった」の割合が過半数となることから、20 代のうちに情報を知っておきたかったと思っている⼈が多いと考えられます。

⽣殖に関する情報について知るのが「遅かった」と思う理由は年代により様々

Q4 「不妊症」を含む妊娠・出産に関する情報を知ったのは【遅かった】と思ったのは、なぜですか。
あてはまるものを全てお選びください。また、最もあてはまるものをひとつだけお選びください。

⽣殖に関する情報について知るのが「遅かった」と思う理由は年代により様々

⽣殖に関する情報について知るのが「遅かった」と思う理由は年代により様々

「加齢に伴い、流産や妊娠合併症のリスクが⾼まることを知ったから」「⽣理が来ていても、妊娠できるとは限らないことを知ったから」「⾃然妊娠できる年齢(⽣殖年齢)には限りがあることを知ったから」「避妊をしなければすぐに妊娠する、というわけではないことを知ったから」が最もあてはまるもの・あてはまるもの全てのいずれにおいても同程度選択されました。
年代別に⾒ると、年代が下がるにつれ「⽣理が来ていても、妊娠できるとは限らないことを知ったから」「避妊をしなければすぐに妊娠する、というわけではないことを知ったから」という回答が、年代が上がるにつれ「加齢に伴い、流産や妊娠合併症のリスクが⾼まることを知ったから」「⾃然妊娠できる年齢(⽣殖年齢)には限りがあることを知ったから」という回答が多くなる結果になりました。これは、回答者の中でも年代が上であるほど加齢が原因で妊娠しにくくなった⼈が増えた可能性が高い一⽅、年代が若い回答者であるほど体質などが原因で妊娠しにくかった⽅がより多く含まれている可能性があるからではないかと推察されます。
「その他」の自由記述において、「妊娠について考えるのが遅かったため」という回答が多く寄せられました。

不妊治療経験者は⽣殖に関する情報について「20 代のうちに知るべき」と思っている

Q5 あなたは「不妊症」を含む妊娠・出産に関する情報について、何歳ごろに知るべきだったと思いますか。

不妊治療経験者は⽣殖に関する情報について「20 代のうちに知るべき」と思っている

不妊治療経験者の半数以上が20 代前半まで、8 割以上が20 代後半までに知るべきと回答しており、ほとんどの回答者が「20 代のうちに知るべき」だと思っていることが明らかになりました。
年代別で⾒ると、20 代では〜20 代前半、30 代では20 代前半、40 代では20 代後半という回答が最も多く、どの世代でも「20 代のうちに知るべき」と思う⼈の割合が多いという結果になりました。

⽣殖に関する情報について早く知っていたら「妊娠に関わる体の機能の検診を受ける」

Q6 あなたは「不妊症」を含む妊娠・出産に関する情報について早く知っていた場合、何か⾏動を起こしていたと思いますか。
起こしていたと思う⽅は、具体的にどのような⾏動をしていたと思うか、あてはまるものを全てお選びください。

⽣殖に関する情報について早く知っていたら「妊娠に関わる体の機能の検診を受ける」

「妊娠に関わる体の機能の検診を受ける」と回答した⼈が過半数で最も多く、次点で「かかりつけの婦⼈科を⾒つけ、定期的に通う」「パートナーと妊娠・出産について話しておく」と回答した⼈が同程度の割合で多いという結果になりました。「何かしらの⾏動を起こしていた」と回答する⼈は88.9%にものぼり、多くの不妊治療経験者がもっと早く情報を知っていたら⾏動を起こしていたと考えていることが明らかになりました。
年代別に⾒ると、どの世代においても「妊娠に関わる体の機能の検診を受ける」という回答が最も多くみられましたが、20 代では「妊娠に関わる体の機能の検診を受ける」「かかりつけの婦⼈科を⾒つけ、定期的に通う」という回答が多い一⽅、30 代・40 代では「パートナーと妊娠・出産について話しておく」という回答が20 代と⽐べて多いことがわかります。Q4 でも⾒られましたが、20 代で不妊治療を経験された回答者は、それ以上の年代と⽐較すると体質による不妊が理由である⽅がより多く含まれる可能性が高いために「自分の体の機能を知っておきたかった」と考えた⽅が多いのに対し、30 代・40 代では「もっと早く妊娠について考えるべきだった」と考える⽅が多い結果となったと推察されます。

⽣殖に関する情報について、特に知っておいてほしい相⼿は「パートナー」

Q7 あなたは、ご自⾝の経験から「不妊症」を含む妊娠・出産に関する情報について、
【もっと早くに知ってほしい・知っておいてほしかった】と思う⽅はいます(いました)か。
あてはまるものを全てお選びください。

⽣殖に関する情報について、特に知っておいてほしい相⼿は「パートナー」

「パートナー」に知っておいてほしかったと回答した⼈が60.8%で最も多く、次点で多い回答は「もっと早くに知ってほしい・知っておいてほしかったと思う⼈はいない」(29.7%)という結果になりました。世代間で大きな違いはなく、いずれの世代においても約7 割が「もっと早くに知ってほしい・知っておいてほしかったと思う⼈がいた」と回答しています。

不妊治療経験者の6 割が
「⽣殖医療に関する情報は適切に提供されていると思わない」

Q8 あなたは、⽇本において「不妊症」を含む妊娠・出産・⽉経などの⽣殖医療に関する情報が適切に提供されていると思いますか。

不妊治療経験者の6 割が「⽣殖医療に関する情報は適切に提供されていると思わない」

不妊治療経験者の約6 割が「『不妊症』を含む妊娠・出産・⽉経などの⽣殖医療に関する情報が適切に提供されていると思わない」ことが明らかになりました。年代別で⾒ても、すべての世代で「思わない」と回答した割合が最も多いという結果になっています。

教育機関による性教育、⾏政からの情報発信が重要だと考える⽅が多数

Q9 「不妊症」を含む妊娠・出産・⽉経などの⽣殖医療に関する情報が適切に提供されるためには、どのようなことが重要だと思いますか。
あてはまるものを全てお選びください。

教育機関による性教育、⾏政からの情報発信が重要だと考える⽅が多数

「教育機関による性教育」が重要だと考えているという回答が最も多く(67%)、次点で「医療機関・医療従事者からの情報発信」「国や⾃治体など、⾏政からの情報発信」という回答が同程度得られました。このことから、不妊治療経験者はより公的な機関からの情報提供を求めていることが伺えます。
Q5 の結果より、「20 代前半までに知るべき」と考える不妊治療経験者が多いことも、教育機関による性教育、さらに若い時期である就学年齢における性教育を求めることにつながっていると考えられます。

若い世代には「⽣理が来ていても、妊娠できるとは限らないこと」を知ってほしい

Q10 これから妊娠・出産について考えはじめる、もしくは今考えている若い世代の⽅に知っておいてほしいことは何ですか。あてはまるものを全てお選びください。

若い世代には「⽣理が来ていても、妊娠できるとは限らないこと」を知ってほしい

「⽣理が来ていても、妊娠できるとは限らないこと」という回答が最も多く(77.6%)、次点で「避妊をしなければすぐに妊娠する、というわけではないこと」、「加齢に伴い、流産や妊娠合併症のリスクが⾼まること」という回答が約7割で多い結果となり、Q4 とほぼ同様の結果となりました。
世代間で大きな差はありませんが、「加齢に伴い、流産や妊娠合併症のリスクが⾼まること」「⾃然妊娠できる年齢(⽣殖年齢)には限りがあること」という回答は、Q4 同様、年代が上がるにつれて割合が高くなっています。

「その他」の回答例として、「男性不妊の存在」「不妊治療の経済的負担」「若くてもすぐには妊娠できないことがあること」「原因不明の不妊も多いこと」「⽣活習慣が不妊の原因になること」「20 代のうちに定期的な婦⼈科検診やAMH 検査を受けてほしい」など、様々な回答が挙げられました。

<医療従事者(医師・看護師)向け意識調査結果>
患者さんの持つ情報“量”は増えている一⽅で、“質”の向上が課題

Q1 不妊治療にあたる中で患者さんの状況について、10 年前と⽐較してどのような変化がありますか︖

1.不妊症の治療法について、患者さんが持っている情報の量は10 年前と⽐べてどうですか︖

患者さんの持つ情報“量”は増えている一⽅で、“質”の向上が課題

2.不妊症の治療法について、患者さんが持っている情報の質は10 年前と⽐べてどうですか︖

患者さんの持つ情報“量”は増えている一⽅で、“質”の向上が課題

患者さんの持っている情報の量が「多い」「とても多い」と回答した⼈が90.1%なのに対し、患者さんの持っている情報の質が「⾼い」「とても⾼い」と答えた⼈は65.8%にとどまり、特に看護師では46.2%が「変わらない」と回答しました。
10 年前に⽐べ、患者さんの持つ情報の量・質はともに改善されているものの、質は未だ改善の余地があると考える医療従事者が多いことがわかります。

配偶者/パートナーの不妊治療への理解が深まり、より協⼒的に
その一⽅で、家族・職場からの理解に変化はない

3.受診される際に配偶者/パートナーと同⾏されることは10 年前に⽐べてどうですか︖

配偶者/パートナーの不妊治療への理解が深まり、より協⼒的に<br>その一⽅で、家族・職場からの理解に変化はない

4.患者さんが不妊治療をするにあたって周囲の理解度やサポートは、10 年前と⽐べてそれぞれどのようなレベルだとお感じでしょうか︖

(ア) 配偶者/パートナー

配偶者/パートナーの不妊治療への理解が深まり、より協⼒的に<br>その一⽅で、家族・職場からの理解に変化はない

受診の際に配偶者/パートナーと同⾏される患者さんの数が「増えた」「とても増えた」と76.0%が回答しており、医療従事者の感覚では10 年前と⽐べると配偶者/パートナーの同⾏は増えているという結果になりました。
また、配偶者/パートナーの理解度やサポートについても、74.7%が「⾼い」「とても⾼い」と回答しており、10 年前よりも配偶者/パートナーの不妊治療への理解が高まり、より協⼒的になっていることがわかります。

(イ) 家族(親、義両親等)

配偶者/パートナーの不妊治療への理解が深まり、より協⼒的に<br>その一⽅で、家族・職場からの理解に変化はない

(ウ) 職場(上司、部下、同僚等)

配偶者/パートナーの不妊治療への理解が深まり、より協⼒的に<br>その一⽅で、家族・職場からの理解に変化はない

配偶者/パートナーからの理解度が高まっている一⽅で、家族(親、義両親等)および職場(上司、部下、同僚等)の理解度やサポートは「変わらない」という回答が最も多く、それぞれ58.2%、49.4%でした。看護師の回答では「変わらない」という割合がより多く、それぞれ76.9%、61.5%となっています。配偶者/パートナーからの理解が進んでいる一⽅、家族および職場からの理解においてはいまだに課題があると考えられていることが明らかになりました。

より質の⾼い性教育が求められていることが明らかに

Q2 不妊治療に携わる中、以下のカテゴリーにおいて、それぞれ最も課題であると感じていることを1 つ教えてください。

<患者さんについて>

より質の⾼い性教育が求められていることが明らかに

<教育について>

より質の⾼い性教育が求められていることが明らかに

患者さんに関する課題としては、全体で⾒ると「年齢と妊孕性の関係について正しい理解がない」と回答した割合が最も多かった(34.2%)ものの、「インターネットによって容易に情報にアクセスできるため、情報過多になっている」「家族や職場から治療に対する理解が得られない」も医師、看護師それぞれで同等数回答がありました。
一⽅で、教育に関する課題としては「性教育の情報が不⼗分」という回答が過半数で最も多く(55.7%)、次点で「性教育の内容が偏っている」という回答が多い(35.4%)という結果になりました。

治療に関する最も大きな課題は「統⼀されたガイドラインがない」ことだという意⾒

<治療について>

治療に関する最も大きな課題は「統⼀されたガイドラインがない」ことだという意⾒

社会に関する課題は「助成制度」「働き⽅改⾰」だと考えられている

<社会について>

社会に関する課題は「助成制度」「働き⽅改⾰」だと考えられている

社会に関する課題として、「残業が多い、ワーキングプア、など働き⽅に関する問題」(38.0%)が最も多い回答となりました。Q1-4(ウ)やQ2<患者さんについて>の回答結果にも⾒られるように、職場からの理解は未だ⾜りておらず、仕事と不妊治療の両⽴はまだまだ困難であると考えられます。
次点で多い回答が「治療への助成制度」(34.2%)であり、不妊治療の経済的負担が大きいことが懸念されていることがわかります。

Q3-1 不妊治療をする中で、出⽣率を上げるために取り組むべきことは何だとお考えですか︖
(⾃由回答のため、多かったものを抜粋)

■「妊孕性」「不妊症」を含む、若い世代への性教育の促進

  • もっとも必要なのは国⺠全体が妊娠について知ること。遅すぎる治療開始は取り返しのつかないことにつながっているように思う。卵⼦凍結が選択肢の一つであることも含め、若いうちから教育を受けるべき。(医師)
  • 加齢による妊孕性低下を若い世代に啓蒙することが必要。(医師)
  • 性教育が曖昧であり、⼈⽣設計が描けない⼈が多いため、正しい教育の場を設けるべき。(医師)
  • ライフプランを早い段階から考え選択できるように、若年層に対する妊孕性についての教育が必要。(看護師)
  • 小学⽣の性教育の授業で避妊だけでなく不妊についてもっと取り上げるべき。また、20 歳前後から、自分のライフプランを考える機会を持てるような社会であって欲しい。(看護師)
  • 義務教育の中で、性教育に⽣殖年齢に限界があることを学んでもらうこと。(看護師)

■治療費の助成などの社会制度の改⾰

  • 治療費の助成や法整備など、不妊治療をするための社会環境が必要。(医師)
  • 高齢での不妊治療をしなくてもよい社会、より若い世代での妊娠を可能とする社会制度が必要。それでも難しい⽅々に対しては、卵⼦凍結は卵⼦提供などオプションを提示できるようにすべき。卵⼦凍結は20 代で⾏うことができるようになると理想的。(医師)
  • 若い時期からの妊娠を望める社会環境と複数の⼦どもを育てられる社会⽀援が必要。(医師)
  • 本来⽣殖に適した年齢で、妊娠出産を経て、⼥性のみならず保育を担当するすべての⼈が家庭と社会無理なく両⽴できるようなシステムが必要。(医師)
  • キャリアと不妊治療・妊娠・出産が両⽴できるように、社会全体の構造を変容する必要がある。(看護師)
  • 昔に⽐べたら社会全体の不妊治療に対する理解も進んできたとは思うが、現在でも仕事と治療の両⽴で悩んでいる患者さんは多い。もう少し不妊治療をする⽅々をサポートする社会制度ができたらと思う。例えば今は産休育休が当たり前のように取得できる世の中だが、不妊治療をするために仕事を休職できる公的な制度ができたら、もっと患者さんは治療に専念できるのではないかと思う。(看護師)

■不妊治療と両⽴できるような働き⽅改⾰

  • 職場環境の整備。仕事が忙しくて治療に⼗分な時間を取れない、職場に迷惑かけているのに妊娠できないプレッシャーなどで困っている患者が多い。(医師)
  • 不妊治療へのアクセスを容易にすべき。特に会社を休みやすくする。(医師)
  • 不妊治療に対する職場の理解を向上させる。(医師)
  • ⼥性の働き⽅やサポート体制がないと安心して出産、育児を考えていくことは難しいと思う。(看護師)
  • 同じ⼥性として、治療していてもキャリアを積みたい、仕事を継続したいという気持ちはわかるため、やはり仕事と治療が両⽴できる環境をもっと整えるべきであると考える。在宅で実施できる検査や薬剤が増え、安心して安全な治療が安易にできる環境ができると理想的。(看護師)
Q3-2 ⽣殖医療に携わる医療従事者として、取り組みたいことがあったら教えてください。
(⾃由回答のため、多かったものを抜粋)

■若い世代(中⾼⽣〜大学⽣)への妊孕性・⽣殖医療に関する性教育

  • 中高⽣からのウィメンズヘルス教育(医師)
  • ⽉経不順などで悩んでいる10〜20 代に対して、妊娠を意識するよう指導し、妊娠できるうちに治療するように介⼊したい。(医師)
  • 結婚後から開始する不妊治療では限界があると感じる。できる限り早期からのプレコンセプションケアに取り組みたい。(医師)
  • 中高⽣〜大学⽣ぐらいの年代の⼥⼦のみならず男⼦に対しても、従来の性教育に加えて、高齢での妊娠がどれほど難しいかを伝えたい。(医師)
  • 若年層に対する妊孕性に対する教育・啓蒙(看護師)
  • 芸能⼈が不妊治療の経験を発信するようになってから、以前に⽐べると不妊治療に対する理解は進んでいるとは思うが、「痛い、辛い、高い」というイメージは未だ強いように思う。そのイメージが不妊治療のハードルを上げ、病院に⾏くタイミングを遅らせたりする原因になりかねない。適切な時期に適切なタイミングで病院に⾏く判断ができるように、妊活を考えている⼈たちだけではなく、婚活中の⽅そして結婚をまた考えていない10 代後半や20 代前半の幅広い世代にも⽣殖医療について知ってもらいたい。そのために出来ることがあれば協⼒していきたい。(看護師)

■患者さんに寄り添う体制の構築

  • ほぼ24 時間対応(たとえば5:00-24:00)の不妊クリニックをつくる(医師)
  • 自施設のレベルアップ・体制構築(医師)
  • 医療現場以外でも、患者さんと話ができる場や、正しい情報を適切に伝えられる機会を増やしていきたい。(看護師)

■⾃己研鑽

  • 新しい事を常に勉強して、良いものは診療に取り⼊れて⾏く(医師)
  • 患者さん自⾝の、その後の一⽣に渡っての健康にも資する治療を目指すこと。(医師)
  • 患者さんと共に妊娠、出産に向かおうとする強い意志の継続(医師)
  • 不妊治療についてのセミナー等への参加(看護師)

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